共働き夫婦の子育て

男女

「3歳児神話」をめぐる議論

女性の社会進出にともなう共働き家庭の増加についての議論で必ず引き合いに出されるのが「3歳児神話」です。
「3歳児神話」とは、簡単にまとめると「子供の発育は3歳までの期間が重要なので、その間は母親は外に出ずに子育てに専念するべき」という意見です。

別の側面から母親は子供が3歳になるまでは家に入って家庭の仕事をするべしというような意見も聞かれることがあります。
確かに幼少期の教育というのは非常に重要で、その時期に受けた心の傷が将来に渡りその人の精神に大きな影響を与えるということは心理学的にありえます。

しかしだからといって全ての女性・母親に対して「3歳までは子供と一緒にいなければいけない」と強制してしまうのもまた大きな問題があると言えます。

建前として3歳までは子供と一緒にいることが正しいという意見があったとしても、例えば子育てが苦手で子供と一緒にいることで強いストレスを感じるタイプの女性もいれば、反対に子供が何歳になっても一緒にいたいと思うタイプの女性もいます。

子供にしても内向的で3歳になっても親以外の人とほとんど話せないという子もいれば、自分で歩けるようになってすぐに外の世界やよその人に興味を持って駆けまわりたがる子供もいます。

子育てにおいて「こうしなければいけない」と他人が決めつけることこそがナンセンスであり、一律に状況で管理するのではなくそれぞれの環境に応じた子育てを支援していくということが大事であると言えます。

「足りない」と子供が感じることこそが不幸せ

子供にとってはきちんと両親がそろって自分に愛情をそそぎ、常にそばにいてくれるようにすることができればそれは最も恵まれた状況と言えるでしょう。

ですが現実にはさまざまな理由で夫婦が離婚や離別をしてしまったり、子供だけ親元を離れて生活をしなければいけないということもたくさんあります。

では両親の片方がいない家庭で育ったり、両親が長く不在で別の人に育てられた子供は直ちに不幸になってしまうのかというと決してそうではありません。

子供が将来に渡る大きな心の傷を負う要因に「身近な人からの否定・拒否があること」と「可哀想な存在であると言われ続けること」があえります。

まず「身近な人からの否定・拒否」ですが、例えば両親が揃っている家庭であっても「邪魔だ」「来るな」といったことをずっと言われていたり、「お前がいなきゃよかった」「お前なんていらない」といったようなことを言われ続けるような場合です。

共働きの家庭では両親ともに忙しいので子供と接する時間が短くなるのは仕方がないのですが、だからこそ一緒の時間に「お前がいてくれてよかった」「お前のおかげで頑張れる」といった存在そのものを肯定する言葉をかけてあげることができれば、それはきっと子供の心に一生残るようなよい影響となってくれることでしょう。

むしろずっと一緒にいるより、その言葉を伝えられる共働き家庭の方がメッセージを伝えやすいと言えるかもしれません。

「父親不在」の家庭にならないために

戦後から現在に至るまでの数十年間は、多くの家庭において「父親不在」が続いてきたと言われています。
これはサラリーマンとなった男性がほとんど家庭に戻らず、外で仕事ばかりをしてきたがために子供にとって「父親」となる存在の人間がいないまま育ってしまったということです。

共働き家庭においてもどうしても子育ての負担は母親の方に偏りがちになるので、子供は父親という人がどういう人間化を知らずに長年過ごすことになりがちです。

しかしそうした父性の不存在は特に男の子にとって将来自分が男としてどう生きていくかというモデルを見つけることができないという大きな問題になってきます。

もちろん女の子にとっても父親が果たす役割は将来の男性観を決めるために重要です。
共働き家庭では特に男性は積極的に家事や育児に参加をし、子供と接触する時間を多くとってもらいたいところです。